真面目で繊細な人ほど傷つきやすいと言われます。
そして、この傷つきやすさは人と関わることへの恐怖を招き、人間関係にも大きな影響を与えます。
今回は、傷つきやすく、人間関係を恐れてしまう人たちにぜひ知ってほしい「傷つく」ことの意味について、TED TALKのプレゼンの言葉を引用しながら解説していきます。
ご紹介するのは私が大好きなTED Talkの動画、Brené Brownさんの
The Power of Vulnerability 【傷つく心の力】です。
私は自己肯定感が非常に低く、誰よりも価値がないと感じて他人と関わることを避けていた時期がありました。
しかし、このBrené Brownさんの言葉を聞いてから恐れる必要はないことを学びました。
英語が苦手な方でも読めるように、講演の引用文に日本語訳をつけながら説明していきます。
きっと皆さんの背中を押してくれる内容となっておりますので、ぜひ読んでみてください!
動画について
こちらの動画はTED Talkの動画の中でもかなり有名なので、英語学習者の方は見たことある方も多いのではないでしょうか?
いろんな言語の字幕で視聴することができ、日本語字幕でも観れます。
ユーモアがあってとても面白いスピーチなので、興味のある方は動画を観てみてください。
Brené Brown: The power of vulnerability | TED Talk
動画のスピードは調整できるので、英語の勉強をされている方で早すぎて聞き取れない場合はスピード調整をして聞くことができます。
動画は少し長いので、時間がないという方はこちらの記事を読んでもらえたらわかりやすいと思います!
どうして人との関わりを恐れてしまうのか?
どうして人間は人との関わりを恐れてしまうのか、考えてみたことはありますか?
講演の内容を元に、順を追って説明していきます。
Shame(恥)
人々との繋がりについて理解するためには、スピーチ上で何度も出てくるShameの意味を理解をしておく必要があります。
Shameは日本語で「恥ずかしい思い、恥、不名誉」のように訳されます。
Shame is really easily understood as the fear of disconnection.
Brené Brown
Is there something about me that, if other people know it or see it, that I won’t be worthy of connection?
Shame(恥)とは、他人に知られたり見られたりすると、繋がりを絶たれてしまうのではないかと恐怖を感じてしまうことのことです。
「自分は勉強できないからだめだ」「自分は太っているからだめだ」
このように、自分は不十分だと感じてしまうことをはありませんか?
実は、日本人は特にこの恥を恐れてしまいます。
それは日本が「恥の文化」と呼ばれ、世間体や他人の視線を非常に気にする傾向があるからです。
人間は恥を感じると、人と関わることが怖くなってしまいます。
繋がりを作るもの
では、人はどのようにして他人と深く繋がることができるのでしょうか。
In order for connection to happen, we have to allow ourselves to be seen, really seen.
Brené Brown
他人と深く関わるためには、本当の自分をさらすこと、つまり恥をさらけ出す必要があります。
恥(Shame)は誰でも感じるものですが、それは人々との繋がりを絶ってしまうかもしれないため、誰も見せたくありませんよね。
人は他人に知られたくない恥がある一方で、人々とのつながりを得るためには恥を周りにさらけ出さなければなりません。
人と関わる恐怖とどう向き合えば良い?
では、人と関わることに対して強い恐怖を感じてしまう場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
このプレゼンのスピーカーであるブラウン先生は、進んで人との関わりを持つ人たちをこう説明しました。
There was only one variable that separated the people who have a strong sense of love and belonging and the people who really struggle for it. And that was, the people who have a strong sense of love and belonging believe they’re worthy of love and belonging.
Brené Brown
恥(傷つくこと)を恐れない人は自分たちが愛されるに値する人間だと信じています。
そして、その人達は4つの特長を持っています。
それがCourage(勇気)、Compassion(思いやり)、Connection(つながり)、Vulnerability(傷つきやすさ)です。
それぞれ解説していきます。
Courage(勇気)
Courage, the original definition of courage, when it first came into the English language — it’s from the Latin word “cor,” meaning “heart” — and the original definition was to tell the story of who you are with your whole heart. And so these folks had, very simply, the courage to be imperfect.
Brené Brown
Courageは日本語で「勇気、度胸」のように訳すことができます。
自分に価値があると信じている人は、不完全な自分の姿を認める勇気を持っています。
「太っているから」「背が低いから」「学歴が低いから」
このようなコンプレックスを感じている人は多いのではないでしょうか。
完璧な人間はいないので、まずはありのままの自分を受け入れる勇気を持つことが大事です。
Compassion(思いやり)
2つ目の特長はCompassionです。
They had the compassion to be kind to themselves first and then to others, because,
Brené Brown
as it turns out, we can’t practice compassion with other people if we can’t treat ourselves kindly.
Compassionは日本語で「哀れみ,思いやり」のように訳すことができます。
この場合の思いやりは他人に対してではなく、自分自身に対しての思いやりです。
不完全な自分を責めるのではなく、そんな自分でも認めてあげる思いやりを持つことです。
Connection(つながり)
自分を認めることのできる勇気と思いやりを持った人たちは他人とのConnection(繋がり)を持ちます。
They had connection as a result of authenticity, they were willing to let go of who they thought they should be in order to be who they were, which you have to absolutely do that for connection.
Brené Brown
他人と深く関わる人は「自分はこうあるべき」という理想の自分を手放して、ありのままの姿を見せることができます。
「女の子はこうあるべきだ」「この会社の社員ならこうあるべきだ」「家ではこんな娘/息子であるべきだ」
他人に言われることもあれば、自分で感じてしまっている場合もあると思います。
でも、「~べき」という言葉に従う必要はありません。
少しずつで大丈夫なので、ありのままの自分を表現できるように行動することが大事です。
自分が思っていたよりも、意外と周りに受け入れてもらえるはずです。
Vulnerability(傷つきやすさ)
最後に、自分たちの価値を信じている人たちはVulnerabilityを受け入れています。
They believed that what made them vulnerable made them beautiful.They just talked about it being necessary.
Brené Brown
このVulnerabilityですが、日本語では「傷つきやすさ、もろさ、弱さ」と訳すことができます。
自分たちの価値を信じている人たちは、自分たちが傷つくことを受け入れることができる人たちです。
どんなに傷つくリスクを伴うことがあっても、愛情を表現するためにそれに臆することなく行動します。
この世界は「傷つく」ようにできている
生きていると、辛いことがたくさん起こります。
私達は、傷つきやすい世界に生きています。
そして、私達は傷ついた心をどうにかして癒そうとします。
The problem is you cannot selectively numb emotion. You can’t say, here’s the bad stuff. Here’s vulnerability, here’s grief, here’s shame, here’s fear, here’s disappointment. I don’t want to feel these.
Brené Brown
その方法として、お酒に溺れたり、借金を作ったり、暴飲暴食に走ってしまいます。
しかし、問題は悪い感情だけを感じないようにはできないということです。
You can’t numb those hard feelings without numbing the other affects, our emotions. You cannot selectively numb.
Brené Brown
So when we numb those, we numb joy, we numb gratitude, we numb happiness.
欲しいものをたくさん買ったり、お酒を飲んだり、ギャンブルを楽しんだりしたら、少しの間であれば嫌なことを忘れさせてくれるかもしれません。
でも、永遠に痛みをなくすことはできません。
今まで生きてきた中で私が一番後悔している選択は「何もしない」ということです。
もうこれ以上自分を嫌いになりたくない、行動を起こして傷つくくらいだったら何もしないほうが良いという風に思い続けた結果、たどり着いた選択でした。
人々を寄せ付けない壁を作り、自分のことを傷つける要素をすべて排除しました。
しかし、そうすることで感じたのはとてつもない孤独と惨めな気持ちでした。
そんな自分を責め続け、結果的に、自分で自分を傷つけるようになりました。
「傷つきやすさ」は愛の原点でもある
「傷つく」ことは誰であっても辛いことであり、どうしても避けたいと思うかもしれません。
でも、傷つきやすさは愛の原点でもあります。
Vulnerability is the core of shame and fear and our struggle for worthiness, but it appears that it is also the birthplace of joy, of creativity, of belonging, of love.
Brené Brown
人間は一人では生きていけません。
私達の生活は家族、恋人、友人、同僚等、たくさんの人との関わりで成り立っています。
この繋がりは時に私達を苦しめることがありますが、同時に、人生に彩りを与え、日々をより幸せなものにしてくれます。
傷つくことは生きているということです。
元気が出るフレーズ
ご紹介したものの他にも背中を押してくれるような言葉が沢山ありました。
いくつかご紹介します。
①あなたは不完全でも価値のある人間
“You know what? You’re imperfect, and you’re wired for struggle,
Brené Brown
but you are worthy of love and belonging.”
②そのままで十分だと思えること
And the last, which I think is probably the most important, is to believe that we’re enough. Because when we work from a place, I believe, that says, “I’m enough” … then we stop screaming and start listening, we’re kinder and gentler to the people around us, and we’re kinder and gentler to ourselves.
Brené Brown
まとめ
人間は傷つきやすい生き物で、世の中は傷つきやすくできています。
好きな人に告白すると、振られることがあります。
愛情を捧げれば捧げるほど、その人を失った哀しみは大きいかもしれません。
それでも、どうか傷つかない人生を選び続けないでください。
不完全な自分を受け入れる勇気を、そんな自分を許してあげる思いやりを持ってください。
その先には自分の人生を豊かにしてくれる感情に出会うことができます。
他人と関わることを恐れ、生きづらさを感じている少しでも多くの人にこのスピーチの内容が届くことを願っています。
~No Pasa Nada~
ノ パサ ナダ!
コメント